
はじめに
HGUC 1/144 ギャプランは、2003年11月に発売されたキットでありながら、今なお高い評価を受けている名作ガンプラです。
シリーズ初の大型ブースター付属、差し替えなしの完全変形機構、そして洗練されたプロポーションという三拍子が揃い、20年以上経った現在でも“挑戦的な設計”として語り継がれています。
主なおすすめポイント
シリーズ初の大型ブースター付属
MS形態・MA形態のどちらにも装着可能で、圧倒的なボリュームと存在感を誇ります。
差し替えなしの完全変形を実現
モビルスーツからモビルアーマーへの変形を、パーツの付け替えなしで再現可能。
スムーズかつ安定した変形構造が魅力です。
優れたプロポーション
MS形態・MA形態どちらも劇中イメージを忠実に再現。
特にムーバブル・シールド・バインダーを装備した独特のシルエットが美しい完成度です。
専用ディスプレイ台座が付属
飛行状態でのディスプレイが可能。
MA形態で飾ると、まさに空中戦を思わせる迫力が楽しめます。
ギャプランとは?
ギャプラン(ORX-005)は、『機動戦士Zガンダム』に登場するティターンズ所属の可変試作モビルアーマー。
オークランド・ニュータイプ研究所で開発され、大気圏内を単独飛行できるほどの高推力を誇ります。
両腕のムーバブル・シールド・バインダーにはメガ粒子砲を内蔵し、シールド・ブースター・ビームライフルを兼ね備えた多機能兵装です。
強化人間ロザミア・バダムやヤザン・ゲーブルといったパイロットが搭乗したことでも知られ、劇中でも印象的な登場を果たしました。
キット概要
• シリーズ:HGUC(High Grade Universal Century)
• スケール:1/144
• 発売日:2003年11月上旬
• 定価:2,420円(税込)→現行再販 2,640円(税込)
• ナンバー:042
• JANコード:4543112227171
再販は不定期ながら続いており、2024年にもプレミアムバンダイなどでの再販が確認されています。希少性はやや高めです。
商品仕様・ランナー構成
成型色はエメラルドグリーン寄りの明るいブルーと濃紺のツートンが基調。
ABS関節・PC-116ポリキャップを採用しており、2003年当時としては非常にメカニカルな構造です。
ランナー構成:
• Aランナー:多色成型(ダークブルー、ホワイト、オレンジ)
• Cランナー×2:シールドバインダー・肩部
• D1・D2ランナー:ホワイト(脚部・腕部)
• Eランナー:グレー(内部構造)
• Fランナー:ブラック(専用台座)
• ポリキャップ:PC-116
ブースターやMA形態用パーツも大きく、HGながら重量感のある仕上がりです。
パッケージ

可動と変形ギミック
可動範囲は2003年発売のキットとして標準的ですが、最大の特徴は差し替えなしでの完全変形。
変形手順概要
1. 胸部を跳ね上げ、腹部フレームを展開
2. 脚部を後方に折りたたみ
3. 頭部を格納
4. バインダーを前方へ展開
5. 胴体ロックを固定
MS形態とMA形態どちらも安定性が高く、ディスプレイ時も非常に見栄えします。
色分け・塗装・ディテールアップ
成型色で大部分を再現していますが、黄色や赤の細部はシールまたは塗装で補う必要があります。
ABS樹脂関節のため、塗装派は溶剤に注意。
おすすめのディテールアップ:
• モノアイをHアイズ化
• バーニアをメタルパーツ化
• スジボリ追加(0.15〜0.3mm推奨)
• エッジのシャープ化・合わせ目消し
• スカート裏へのプラ板モールド追加
塗装によって印象が大きく変わるキットで、特に劇場版Zカラー(グリーン寄り)で仕上げると映えます。
総合評価
プロポーション ★★★★★
変形ギミック ★★★★★
可動範囲 ★★☆☆☆
色分け ★★☆☆☆
組みやすさ ★★★☆☆
ディスプレイ性 ★★★★★
改造・塗装適性 ★★★★★
良い点
• 差し替えなし完全変形が秀逸
• 両形態ともスタイル抜群
• 大型ブースターによる圧倒的存在感
• 接地性が良く自立も安定
気になる点
• 合わせ目が多く処理が大変
• 細部の色分け不足
• 可動はやや制限される
• 成型色が劇中色と異なる
総評:古き良き「挑戦的設計」の象徴
HGUC 1/144 ギャプランは、2003年という時代においてここまでの変形構造を実現した意欲作です。
素組みでも迫力ある姿を楽しめますが、塗装や改造を施すことで最新キットにも劣らない完成度に仕上がります。
「手を加えるほどに輝く、20年前の野心作」
――それがこのHGUCギャプランの本質です。
中上級者モデラーや変形ギミック好きに特におすすめの一品です。

